障害者グループホームの運営に発信は必要?「困っていない」の落とし穴
今は満室だから、発信しなくても困っていない
そう感じている方にこそ、伝えたいことがあります。障害者グループホームにも、発信は必要です。
日々の支援に、シフトの調整、ご家族への対応。目の前の暮らしを守るだけで、一日が終わってしまいますよね。
ただ、こんな人がいるかもしれません。ネットでホームを調べたものの、様子がわからず問い合わせなかったご家族。求人を見ても、応募しなかった人。満室のうちは、こうした人がいても気づけません。これが「困っていない」の落とし穴です。だからこそ、自分たちからホームの様子を届ける必要があります。
介護職として現場で働き、障害者グループホームの世話人も経験してきた私が、この記事を書きました。すでに運営している方にも、これから開業する方にも読んでほしい内容です。発信が必要な理由と、忙しい中でも始められる方法をお伝えします。
満室のうちに備えておくことが、これからも選ばれ続けるホームにつながります。まずは、なぜ発信が必要なのかから見ていきましょう。
障害者グループホームに発信は必要。今は「選ばれる時代」だから
ご家族や働きたい人は、いくつものホームを比べて選ぶようになりました。発信が必要な理由は、次の三つです。
- ご家族は、足を運ぶ前に調べている
- 働きたい人も、応募する前に調べている
- 自分たちの言葉で伝えることが、信頼を積み上げる
理由1:ご家族は、足を運ぶ前に調べている
障害者グループホームは、2024年に14,241事業所となり、前年から6.7%増えました。ホームが増えるほど、選ぶ側の選択肢も増えていきます。「障害者グループホーム」という言葉は、月に約1万8,100回検索されています(ラッコキーワード調べ、2026年9月)。
高齢者の介護施設の調査では、ご家族は平均4.2施設を見学して比べていました。ご家族が知りたいのは、ホームの雰囲気や働く職員、そこでの暮らしでしょう。それが伝わらなければ、比べる候補に入れないこともあります。
理由2:働きたい人も、応募する前に調べている
介護の仕事に就いた人のうち、求人サイトなどから応募した人の86.0%が、就職前に採用サイトを確認していました。求人票に載せているだけでは、十分とはいえません。
業種を問わない20〜30代の調査では、情報不足が原因で応募しなかった経験がある人が、九割以上いました。情報が足りないと、応募しないまま去る人は多いのです。
介護の現場で仕事を辞める理由は、職場の人間関係や、運営のあり方への不満が上位です。裏を返せば、働く人は「どんな人と、どんな考えで働くか」を知りたがっています。ホームの想いや、新人を育てる仕組みを伝えることが、合う人との出会いにつながります。
理由3:自分たちの言葉で伝えることが、信頼を積み上げる
笹本
介護職として働いていたころ、実感してきたことがあります。利用者さまやご家族と、必要な情報が過不足なく伝わっていると、良い支援につながるということです。トラブルが起きても話がこじれにくく、対応の負担も小さく済みました。
ブログも、同じ役割を果たせます。日々の様子や、大切にしている考えを、自分たちの言葉で伝えておく。その積み重ねが、ご家族との信頼になっていきます。
反対に、日頃の様子が伝わっていなければ、入居中のご家族を不安にさせているかもしれません。自分たちの言葉で伝え続けることが、信頼につながります。
障害者グループホームの運営で、発信が後回しになる理由
必要だとわかっていても、発信はつい後回しになります。理由は大きく三つです。
- 「今は回っている」と思えるから
- まとまった時間が取れず、続けられないから
- 「どこまで見せるか」の判断が重いから
「今は回っている」と思えるから
今は満室だし、発信しなくても回っている
そう思うのは自然なことです。ただ本音では、満室でも空室が出る不安は、いつも頭のどこかにあるのではないでしょうか。
空室が出てから動いても、発信はすぐには届きません。それでも、運営する側が発信について調べることは、ほとんどありません。検索データにも、それが表れています。
| 探している人の検索 | 月間 | 発信について調べる検索 | 月間 |
|---|---|---|---|
| 障害者グループホーム | 約18,100 | 障害者(障がい者)グループホーム ブログ | ほぼ0 |
| 世話人とは | 約1,000 | ― | ― |
| グループホーム入居条件 | 約880 | ― | ― |
| 世話人求人 | 約720 | ― | ― |
まずは、ご自分のホームの名前で検索してみてください。ご家族や働きたい人が見ているのと同じ画面で、何が伝わっているかがわかります。
まとまった時間が取れず、続けられないから
目の前の業務で手一杯で、追加の作業は正直しんどい
管理者の一日は、ご家族への対応やシフトの調整、書類の作成で埋まっていきます。まとまった時間は、なかなか取れません。始めても数本で止まったり、担当者が替わって途切れたりしやすいのです。
笹本
ただ、ブログは毎日更新しなくてもかまいません。
月に1回でも、2か月に1回でも、続けられるペースで続けることが大切です。すきま時間に写真1枚と一言だけでも十分です。
スマートフォンの音声入力で話すように下書きすれば、机に向かう時間もいりません。それでも難しければ、話すだけにして、書く作業と続ける仕組みを外に任せる方法もあります。
「どこまで見せるか」の判断が重いから
採用のために正直に書けば、ご家族を不安にさせるかもしれません。ただ、SNSや口コミを確認する求職者に聞いた調査があります。良い面と悪い面の両方が見えると応募を続けたくなる、と答えた人は73.6%でした。
公開する前に、次の三つを確かめれば安心です
- 写真やお名前は、ご本人とご家族の同意を得ているか
- 住所や通っている事業所など、利用者さまが特定される情報はないか
- 良い面だけを飾らず、事実のまま書いているか
まとめ:発信は、困ってから始めるものではない
発信は、困ってから慌てて始めるものではありません。満室・満員のうちに備えておくことで、これからも選ばれ続けるホームになれます。これから開業する方なら、開設前から始めるほど、開設時に利用者さまを迎えやすくなります。
発信は、ホームに合った利用者さまや職員が、迷わず選べるようにするための武器です。
参考資料
- 厚生労働省「令和6年社会福祉施設等調査」
- 鎌倉新書「第2回 介護施設探しに関する実態調査(2026年)」(高齢者の介護施設が対象)
- 株式会社ダトラ 介護従事者への調査(2022年)
- ヒトクル 20〜30代の転職経験者への調査(2021年、全業種)
- ワークポート「転職活動でのSNS・口コミ利用に関する調査」(2026年)
- 介護労働安定センター「介護労働実態調査」(介護保険の事業所が対象)
- 検索数:ラッコキーワード(2026年9月時点の目安)